亡くなった人の借金を調査する方法とは?
司法書士・行政書士・ファイナンシャルプランナーの檜山大地です。
今回は、「相続人が亡くなった人の借金や債務をどうやって調査すれば良いか?」についてお話ししたいと思います。
弊所が行う相続に関するご相談の際には、必ず亡くなった方の借金や負債の有無についても確認をしています。借金や負債も相続の対象となるからです。
預貯金や不動産等のプラス財産よりも借金等のマイナスの財産が多い場合などでは、家庭裁判所への相続放棄や限定承認の申立てなどを検討する必要があり、相続手続きの方向性は全く変わってきます。相続が今後生活していく上での重荷とならないよう、相続手続では時に慎重な判断が必要です。
銀行や貸金業者、クレジット業者の債務調査はどうすればいいの?
まずは、保管書類や郵便物、金融機関の預金通帳などをくまなく調査してみましょう。これらの資料から債務が判明することがあります。ただし、すべての債務を特定するには不十分かと思われます。債務の有無につき精査したい場合には、信用情報機関に対して信用情報の開示請求を行うことにより、亡くなった方の死亡時の債務残高を知ることができます。司法書士は遺産承継業務としての調査業務として代理人となり、この開示請求を行うことができます。
現在、下記信用情報機関が存在するため、漏れが無いようすべての機関に対し開示請求を行うべきです。
1.全国銀行個人信用情報センター(銀行、銀行系カード会社)
2.割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)(クレジット業者)
3.日本信用情報機構(JICC)(貸金業者、クレジット業者)
いずれも郵送で開示することが通常ですが、信用情報機関によっては、窓口やインターネットによる請求も可能です。開示請求の方法は、それぞれのウェブサイトで案内されていますので、それぞれのサイトから専用の申込書等をダウンロードし実際の手続に使用することになります。また、申込書等の他にも戸籍謄本等、開示に必要な書類を求められますので、ウェブサイトを参照したり、直接機関に問い合わせて確認しましょう。
住宅ローン残高の調査はどのようにすればいいの?
基本的には住宅ローンを利用している金融機関に対し、残高証明書の発行を請求することになります。住宅金融支援機構等が債権者となっている場合は、取扱窓口となっている機関に請求することができます。これらは、各窓口で発行請求するのが一般的です(ネット銀行は除きます)。必要書類は各金融機関によって異なることがありますが、基本的に預貯金の相続手続(払戻しや解約手続き等)の際求められる書類とほぼ同様です。金融機関によっては、決済口座を特定するため通帳やキャッシュカードの提示を求められることがありますので、こちらも事前の確認が必要でしょう。
保証債務の調査はどうすればいいの?
亡くなった人が頼まれて他人の債務の連帯保証人になったり、事業の経営及び役員の関係から勤務会社の保証人となっていた場合、その保証債務も原則として相続の対象となります。保証債務は性質上その存在に気付きにくいため注意が必要です。調査方法としては、遺品を隈なく調査することはもちろん、金融機関や勤務会社及び税理士(税務申告書の控を保管している場合もあります)に問い合わせ確認することなどが挙げられます。
債務の調査はいつまでに行った方がいいの?
では、債務調査はいつまでに行うべきなのでしょうか。
もし、亡くなった人に債務があってあなたが相続人であった場合、「何も相続したくない!」という意思があれば、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申立て手続きを行わなければなりません。相続放棄の申立手続きは、戸籍謄本等の必要書類を収集のうえ申立てを行う必要があります。もし、何もしないまま3か月を過ぎると原則相続人に債務の支払義務が発生します。相続放棄の申立準備期間も加味すると、債務の確認調査期間は相続開始後、2か月間が最適であると思われます。
以上、今回は債務の相続について解説しました。
「借金や保証債務があるなら、生前に必ずその旨家族に伝えておくこと」
これがとても重要なのではないでしょうか。