離婚・財産分与
当事務所では、離婚後の生活に備えるための離婚協議書(公正証書)の作成、財産分与にともなう不動産名義変更や抵当権(住宅ローン等)の債務者変更登記、離婚調停の申立書をはじめとする各種裁判所提出書類の作成など、離婚に関する手続きを取り扱っております。 ご依頼の趣旨や内容が司法書士・行政書士業務の範囲外となる場合、ご希望に応じて弁護士の先生などのご紹介も行っております。お気軽にご相談ください。
当事務所に離婚手続を依頼するメリット
- 当事務所がご夫妻の間で合意された内容につきじっくりお話をうかがったうえで、離婚協議書を作成いたします。
- 公正証書の離婚協議書を作成する際に、公証役場との打ち合わせも当事務所が全て行います。
- 離婚協議が成立した後の財産分与による不動産の名義変更などもトータルサポートします。
- 協議が整わなかった場合、家庭裁判所へ提出する離婚調停申立書の作成を行い、離婚手続を支援します。
- 母が親権者となった場合、子の氏の変更に伴う家庭裁判所の手続きなどアフターフォローもしっかり行います。(詳細は子の氏と戸籍をご覧ください。)
※司法書士・行政書士業務の範囲を超えるご依頼・法律相談については、承ることができません。例えば、ご依頼人の代理人として相手方と交渉することはできません。弁護士の先生をご紹介することがございます。
離婚することになった場合
離婚した場合、親権や養育費、面接交渉、財産分与、慰謝料等、決めておかなければならないことが数多くあります。とりわけ、金銭の問題については、どちらがどのようにいくら支払うのかを細かく決めておく必要があるでしょう。 金銭的なことを決めなかった場合、口約束のみで離婚してしまった場合などには、後日トラブルに発展する可能性が高くなります。 離婚後、争い事にならないよう、離婚前にしっかりと話し合い、取り決めた内容は離婚協議書にして残しておきましょう。
離婚の進め方と方法
離婚には、主に以下の3つの方法があります。
協議離婚
夫婦当事者間での話し合いにより離婚する方法(離婚全体の約9割が協議離婚です)
調停離婚
家庭裁判所で、中立の調停委員を間に入れて話し合いで離婚する方法
裁判離婚
調停が整わなかったときに、夫婦の一方が他方に対して訴訟を提起して、判決によって離婚する方法
離婚協議書の作成
離婚協議書は公正証書にする
先述した通り、離婚の際には決めておかなければならないことがたくさんあります。当事務所では、話し合いで決めた内容は、公正証書にしておくことをおすすめしております。 公正証書で作成しておけば、お金に関する支払いの約束が守られなかった場合、裁判を経ずに直ちに相手の財産を差し押さえることができます。 協議離婚の場合、各種の取り決めは夫婦間の口約束で済ませてしまうことも多いですが、それでは後日トラブルに発展してしまう可能性があります。話し合いの内容は離婚協議書にし、公正証書で作成しましょう。
離婚の際に決めるべき内容
離婚をする前には、以下の事柄について話し合って決めておきましょう。
1.親権者
夫婦が婚姻している状態であれば、子どもの親権は夫婦2人が共同で行使することになりますが、夫婦が離婚した場合、親権の共同行使は認められず、どちらか一方を子どもの親権者として定めなければなりません。
そもそも「親権」とは、未成年者の子どもを監護・養育し,その財産を管理し,その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。法律上定められている具体的な親権の内容としては,次のようなものがあります。
身上監護権
実際に子どもの身の回りの世話や教育、しつけをして、子どもを一人前の大人に成長させる権利や義務
財産管理権
子ども名義の財産があればこれを管理する権利や義務
これら2つに加え、親権には、子どもが何らかの契約をする必要が生じた場合、その法定代理人として子に代わって契約を締結する立場なども含まれます。
親権は、「子どもの利益」に即して判断され、具体的には親側の事情(子に対する監護能力や家庭環境、居住・教育環境等)に加えて、子ども側の事情(子の年齢、兄弟姉妹関係、子自身の意向等)など様々な事情を総合的に考慮して決められます。 通常は、子どもを引き取って育てる側が親権者となるのが大半です。とくに子どもが幼い場合、一般的には妻が親権者となります。 また、親権者を決める場合、子が15歳以上の場合は必ず子の意見を聞かなければならないことになっています。 さらに、離婚時に親権者を決めてもその後の事情の変化によって、子どもの利益のため必要があると認めるときは、親権者を変更することが可能です(親権者変更の調停)。
2.面会交流
「面会交流権」とは、別居親が子どもに面会し、食事や旅行など子どもと一緒に過ごす権利のことをいいます。注意しなければいけないのは、この面会交流権は親のための権利ではなく、あくまで「子どものための権利」であるということです。したがって、子どもの幸せに反する場合は、面会交流権が制限される場合もあります。面会交流については、面会の回数や宿泊の有無、電話(メールを含む)のやりとりの方法などを事前に決めておくと良いでしょう。
3.養育費
「養育費」は、教育費(学費や塾の費用など)・衣食住の経費・医療費・娯楽費・お小遣いなど、子どもを育てるための費用を指します。支払期間は、原則として子が満20歳になるまで支払い続けるといったものが多いですが、18歳までとする場合や大学・専門学校を卒業するまでと決めることもあります。養育費は一括ではなく、定期的に支払われることが一般的です。養育費は当事者の話し合いで自由に決めることができ、基本的には離婚時に取り決めた養育費の額や支払期間は変更することはできませんが、経済的な事情が離婚時と大きく変化した場合には養育費の増額や減額が認められることがあります。
4.財産分与
「財産分与」とは、離婚する際に、夫婦が結婚生活の中で協力して築き上げた財産を分け合うことです。財産分与の割合は、話し合いにより様々な事情を考慮して自由に決定することができます。分与の割合は、財産形成に対する夫・妻それぞれの寄与度(貢献度)によって決まるとの考え方がとられています。しかし、夫がサラリーマンとして働き、妻が専業主婦として家事全般を行う家庭の場合、収入面から判断すると、公平な分与が難しくなります。そのため、家事労働も評価し、妻に対しても原則2分の1の分与が認められます。
財産分与の対象になる財産としては、結婚後に夫婦が協力して築き上げた財産であれば、原則名義の如何を問わず対象になります。例えば結婚後に購入した共有名義のマイホームや預貯金、車、家財道具、生命保険や学資保険などがあります。また、住宅ローンなどの借金も分与の対象となります。一方、財産分与の対象にはならない財産として結婚前に貯めた預貯金(名義が自分のもので、明確に区別できるもの)や結婚後に親等からの贈与や相続で得た財産などは特有財産として財産分与の対象にはなりません。
分与財産で特に注意しなければならないのが不動産です。不動産を財産分与で譲渡する際には譲渡所得税が課税され、また分与を受ける側にも登録免許税や不動産取得税が課税されます。また、住宅ローンが設定されている場合、今後誰がどうやって返済していくかを決めるなど、悩ましい問題がたくさんあります。
5.慰謝料
「慰謝料」とは、不倫や暴力などの違法行為によって、離婚原因をつくった配偶者から受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。慰謝料が認められるには、相手方の行為が違法であることが前提であるため、単なる不仲や性格の不一致などによる相手方の行為は、ただちに違法とまではいえないため、原則慰謝料は請求できません。また、夫と妻双方とも不倫していた場合などは、一方的に相手方の責任を問えなくなりますので、請求は難しくなります。
慰謝料の額はどう決まるのかというと、算定の明確な基準はなく、支払う側の要素(責任の程度や収入等の経済力など)や請求する側の要素(精神的苦痛の程度や、請求側の責任の有無、離婚後の扶養の必要性など)、双方に共通する要素(結婚期間や年齢、子どもの有無など)等の様々な事情が考慮されます。一般的には、平均200万~300万円程度が多いようです。
慰謝料の請求は、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権とされ、「損害及び相手方を知ったときから3年、行為時より20年」で時効となります。例えば、配偶者の不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、時効は「配偶者の不貞行為および浮気・不倫相手を知った時から3年」、「浮気・不倫関係が始まった時から20年」ということになります。 なお、夫または妻の不倫相手に対しても、損害賠償を請求できる場合があります。
6.年金分割
2007年4月1日以降に離婚した場合、夫婦が離婚した後に受給する婚姻期間中の保険料に相当する厚生年金は、夫婦間の話し合いにより、多い方(多くは夫)から少ない方(多くは妻)に最大2分の1まで分割することができるようになりました。これが厚生年金の「合意分割制度」です。例えば、婚姻期間が30年で、この間の保険料納付実績に基づいて算定された厚生年金の月額が夫8万円、妻0円の場合、夫の8万円が分割できる対象年額なので、最大で4万円まで妻が受給できます。また、夫が上記と同じ月額8万円でも、妻が結婚前の勤務により月額2万円の厚生年金を受給していた場合、合計額の10万円を夫婦で分割できるため、妻は最大5万円まで受給できることになります。
夫婦で年金の分割が合意できたら、社会保険事務所に請求をします。ただし、離婚後2年以内に請求しなければならないので、注意が必要です。仮に、話し合いで合意ができなかった場合には、家庭裁判所に分割割合を定めるよう申立てをすることができます。
なお、2008年4月1日以降の離婚については、第3号被保険者(多くは、サラリーマンを夫に持つ専業主婦)であれば、合意分割のように夫婦間で話し合いをしなくても、社会保険事務所に請求をすれば、自動的に年金が2分の1に分割されることになりました(「3号分割」)。あくまでも、2008年4月1日以降の婚姻期間分だけとなりますので、それ以前のものについては、合意分割制度が適用されます。
7.婚姻費用
離婚について話し合うまでの段階で、一方が家を出て別居する夫婦も多くみられます。問題は、別居の間も夫婦それぞれが生活を維持できる経済力があるかどうかです。特に専業主婦の場合、妻の自立は難しく生活費もままならないことが多いため、夫に日常の生活費のほか、衣食住の費用、医療費、交際費、子供の養育費(これらを「婚姻費用」という)を負担してもらうことができます。夫婦の一方の収入が少ない場合、収入の多い側が少ない側の生活費等を分担することになるのです。もし、夫婦の一方(多くは夫)が、婚姻費用を支払わない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることが可能です。この調停による話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始され、裁判所において決定されることになります。
離婚後の子の氏と戸籍
婚姻中、父の名字を名乗っていた父母が離婚し、母が子の親権者となって子を引き取った事例で考えてみましょう。
離婚後の母の氏と戸籍
婚姻中に父の氏にしていた母は、離婚をすると、婚姻前の氏(旧姓)に戻るのが原則です。ただし、離婚後も婚姻中の姓を名乗っていたいという場合は、離婚の日から3か月以内に必要な届出をすることにより、婚姻中の姓をそのまま名乗ることができます。 婚姻前の氏(旧姓)に戻る場合、「自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る」か「婚姻前の戸籍(通常は親の戸籍)に戻る」かの選択となり、一方、婚姻中の姓をそのまま名乗る場合には、当然にその氏で母の新戸籍が作られます。 ただし、後述する子の氏の変更等を考慮した場合、新しい戸籍を作る方が良いと思われます。
離婚後の子の氏と戸籍
たとえ父母が離婚したとしても、子の氏は父の氏のままです。そして、子の戸籍についても変動はなく、仮に母が親権者になっても、自動的に母の新戸籍には移りません。 そうすると、母が親権者となって子と共同生活を送っているにもかかわらず、母と子で名字が異なり戸籍も異なるという事態になってしまいます。これでは、社会生活上、色々な不都合が生じてくることは明らかです。 そこで、子を母の戸籍に移し、母と子の名字を同じにする手続をする必要がでてきます。
子の氏の変更許可申立て
このような場合、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」をして、許可を得る必要があります。許可の審判を得た後、市町村役場に入籍(母の戸籍に子が入籍する)の届出をすることにより、子の氏の変更手続が完了します。
母が婚姻中の姓を選択した場合の手続
母が離婚後も婚姻中の姓を名乗った場合、母も子も父の姓のままなのだから、氏は同一であり、少なくとも子の氏の変更許可手続はいらないのではないかとの疑問が生じます。 しかし、この場合であっても子を母の戸籍に入れて同じ姓を名乗らせるためには、「子の氏の変更許可」という手続が必要です。母と子の「呼び名」としての姓は同じなのですが、法律上の姓が違うため、変更許可手続きが必要になるのです。
調停離婚
離婚の話し合いがうまくいかず、合意で離婚ができなかった場合、家庭裁判所の調停委員による離婚調停の手続きになります。最初から裁判を起こすことはできず、まずは離婚調停を申し立てなければなりません。また、離婚には合意していても、子供の親権や、養育費、慰謝料など、離婚に関して付随する問題についての合意ができないときも調停により解決を図ることができます。 なお、夫婦が円満な関係でなくなった場合、その関係を回復するための調停もあります。この調停は離婚した方がよいかどうか迷っている場合にも,利用することができます。
財産分与による不動産の名義変更
夫婦の話し合いにより離婚(協議離婚)し、夫婦の一方がもう一方に対して不動産の名義を移すときは、財産分与による所有権移転登記をすることになります。 具体的に、登記に必要な書類は以下のようになります。
- 離婚協議書または財産分与証書(当事務所で作成することも可能です。)
財産分与を受けた方
- 住民票
- ご印鑑(認印可ですが、実印が望ましい)
財産分与をする方
- 不動産の権利証又は登記識別情報通知
- 印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
- 不動産の固定資産評価証明書
- ご実印
※司法書士に登記申請手続を依頼する場合には、この他に財産分与を受ける方、する方どちらも登記申請委任状と本人確認のための身分証明書(運転免許証など)が必要となります。
※登録免許税として、移転した不動産の固定資産税評価額の1000分の20が課税されます。
※登記簿上の住所氏名と現在の住所氏名が相違している場合には、住所変更登記が必要となり、必要書類や費用にも変更が生じる可能性があります。
財産分与による所有権移転登記 ご依頼の流れ
(1)打ち合わせ・税理士の先生のご紹介
まずはお電話やメールで財産分与の概要をご相談いただき、その上で来所日時の打ち合わせや簡単な流れの説明などをさせていただきます。その後、実際にお会いしてご依頼いただければ必要書類を案内し、書類作成の作成を進めていきます。 ご希望に応じて信頼できる税理士の先生のご紹介も行っております。
(2)財産分与証書等への署名押印
当事務所で作成した財産分与証書など不動産の財産分与手続きに必要な書類に、当事者の方から署名捺印をいただきます。
(3)法務局へ登記申請
必要書類が揃いましたら法務局へ登記申請を行います。登記は、申請日からおよそ1週間程度で完了します。
(4)納品・書類のご返却
登記が完了すると、法務局より登記識別情報通知(従来の「登記済権利証」に代わるもの)や、登記完了証が発行されます。 当事務所で登記内容の最終チェックおよび各書類の整理を行ったうえで、書類の納品・ご返却をいたします。 また、住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。たとえば、夫が所有者でかつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとしても、住宅ローン債務者は夫のままです。もし、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要がありますので、借入先に問い合わせてみましょう。